藤井四段がデビューしてから将棋界がつまらない

今日、藤井四段からデビュー以来無敗の29連勝を達成して、連勝記録歴代単独一位になった。

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前人未踏の素晴らしい記録だ。

 

しかし、将棋ファンとして個人的に、この記録はつまらない。

藤井四段がデビューしてから、将棋界はつまらくてしょうがない。

 

 

この先10年は、将棋界は藤井聡太四段の独り舞台だろう。

競馬のレースにF-1カーが参戦しているようなものだ。

藤井聡太に比肩するライバルは現れず、将棋は「藤井が最後に勝つゲーム」になるだろう。

 

もちろん、今まであまり興味を持っていなかった人たちが、将棋に関心をもってくれるのは、一人のファンとしてとてもうれしい。

しかし、この藤井独り勝ちの展開は、将棋界の勝負を楽しみたいファンにとってはおもしろくない展開なのだ。

 

つまり、単純にライバルがいない。

なぜライバルが現れえないのか、藤井に対抗できる棋士が現れないかは、AI将棋の事情とも関連させて次の記事で書くとして、ここでは将棋界がつまらなくなった理由を話したい。

 

羽生にはたくさんのライバルがいた。

いわゆる「羽生世代」と呼ばれる棋士たちである。

まずは森内俊之九段

羽生と同学年で、小学生のときに将棋大会の決勝で羽生と戦って破れ、羽生に2年遅れてプロになるも、羽生よりも先に「永世名人」になった大棋士だ。

羽生と森内の間には数々の熱いドラマがある。

あるいは『聖の青春』で有名な夭折の天才棋士、故村山聖九段。

ほかにも佐藤康光九段、藤井猛九段、深浦康市九段、郷田真隆九段、丸山忠久九段など、羽生世代には名だたる大棋士たちがいる。

この羽生世代が40代半ばに差し掛かり、衰えが見え始め、次に棋界の覇権を握るのは誰なのかと群雄割拠の時代になっていたのが、ここ最近の将棋界だった。

羽生世代に対して、何人もの個性ある若手棋士が対抗して争っている将棋界が好きだった。

 

そこに颯爽と現れたのが藤井聡太だった。

その後の活躍は周知の通りである。

 

デビュー以来無敗の29連勝は凄い。

凄すぎる。

しかも、その多くが圧勝であり、しかもデビュー以来もの凄いスピードでさらなる成長をとげている。

これから、群雄割拠だった将棋界に君臨し、他の20代の若手棋士たちを足元にも寄せ付けないほど蹂躙していくのは、ほぼ間違いないだろう。

いつかは連勝が止まるにせよ、このまま行けば勝率9割越えになっても不思議ではない(年度勝率の歴代記録は0.8545)。

おそらく最年少タイトルも取るだろう。

今年タイトル戦に昇格した叡王戦を含めた8大タイトルを総なめにし、羽生善治を越えて史上初の八冠制覇を達成するのも時間の問題のように思われる。

 

そして藤井四段のライバルは少なくとも数年は現れない。

藤井四段が若すぎるのだ。

今日対局した増田四段も、16歳でプロ入りした19歳の若い天才だが、それでも藤井四段より5歳も年長だ。

それに、奨励会(プロになる前の育成会のようなもの)の二段以上に、藤井四段と同世代の棋士がいないのだ。

初段以上こそ藤井四段と同世代がいるが、その世代が四段になってプロになるのは早くても18歳前後だろう。(20歳までにプロ入りできれば、プロの中でも相当に優秀な方なのだが。)

 

つまり、あと10年くらいは、藤井天下の牙城に迫りうる棋士が現れない可能性が高い。

それこそ、羽生三冠(46)に対する渡辺竜王(32)くらいの年齢差になることもありえる。

 

それまでは、藤井聡太一人の天下だろう。

あと10年間はずっと、将棋は「藤井が最後に勝つゲーム」になる。

「藤井が最後に勝つゲーム」を観てファンは楽しいだろうか。

僕が見たいのは、どちらが勝つかわからないギリギリの攻防なのだ。

そして、どの若手棋士も、努力次第で平等にトップに立てる可能性を持った世界を見たかったのだ。

「特別」がただ一人にしか許されない世界に、凡人の自分はどんなロマンを感じたらいいのだろうか。

 

藤井四段がこれ以上勝ち続けるなら、将棋界は、僕にとってどんどんつまらないものになっていくだろう。

 

 

そうならないためにも、どうにか他の棋士に頑張ってもらいたい。