トマト倉庫八丁目

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ビューティフル・ドリーマー、トゥルーマン・ショー、VRChat

ビューティフル・ドリーマートゥルーマン・ショーのネタバレが若干あります。ご注意ください。

 

 この前、久しぶりに『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を見返してみたんだが、これが面白い面白い。

 各シーン絵がバチバチに決まっているうえに、テーマも今観返してもほとんど古臭くない。押井監督作品のなかでは、やはり一番好きな作品だ。

 

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 今回ビューティフル・ドリーマーを見て思い出したのは、自分がここ8か月ほどドップリとハマっているVRChatだった。

 ビューティフルドリーマーの「夢の世界」は、ヴァーチャル・リアリティ的な空間だと解釈することもできるだろう。学園祭前日のような狂騒が毎日のように繰り返され、現実から離れ、個々人の理想がヴィジュアライズされる世界。夢邪鬼が見せる夢の世界とVRChatの世界はちょっと似ているかもしれない。そんなことを考えながらビューティフル・ドリーマーを観ていた。

 

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 これは獏が夢の世界を吸い込むシーンなのだが、夢の世界の物質がはがされて、「グリッド」が見えているのがわかる。

 獏が夢の世界を食べたあとに見えるグリッドは、VRChatからログアウトしたときにヘッドマウントディスプレイに映っているグリッドに似ているかもしれない。

 

 あるいは、HTC VIVEで現実の壁に近づいたときに表示されるグリッド。

 

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 ヴァーチャルな世界が解け、現実にフッと引き戻される。このグリッドにはそんな効果がある。

 VRを体験していて、このグリッドが目の前に現れる感覚は、あるいは映画『トゥルーマン・ショー』で、主人公が乗った船が立てる、あの「ゴッ」という音にも似ている。

 そう、VRChatをしていても、現実に干渉してしまうときは「ゴッ」という音を立てるのだ。VRに夢中になりすぎて、壁などのいわゆるリアルコライダーに当たってしまったときの、あの嫌な音。

 

 現実世界の基盤に魔術的世界が乗っているのなら、その魔法が解けたときに立ち現れるのは「グリッド」と「ゴッ」なのかもしれない。