トマト倉庫八丁目

小説、漫画、映画、ゲームなどなど

2016-01-01から1年間の記事一覧

大人になること

誕生日だ。 20歳を越えてから誕生日はあまり嬉しいものではなくなってきた。 自分の前に広がる可能性が、部分的には、少しずつ狭くなっているのを感じているのかもしれない。 大正時代くらいまでは数え年が一般的だったから、正月と一緒に歳が増えるのを祝う…

『白馬のお嫁さん』『消滅世界』――男性の妊娠

『白馬のお嫁さん』(庄司創)の最終三巻を読んだ。 良いSFラブコメだった。 庄司創作品ということもあって頭でっかちなのだけれど、『勇者ヴォグ・ランバ』あたりに比べると今作は良い感じに肩の力が抜けている。 ただ、あっという間に終わってしまった感じ…

夏コミのお知らせと、星雲賞コミック部門半分くらいレビュー

まずは、僕が所属している京大SF・幻想文学研究会が夏コミ(C90)で頒布するやつの宣伝をば。 C90のお品書きです。新刊『WORKBOOK106 特集:SFと漫画』(星雲賞コミック部門全レビューなど)|¥400既刊『WORKBOOK105+Asterisme』(レムコレクションレビュー…

森達也『FAKE』感想

白か黒かという二項対立的な発想が嫌いだから、この映画をつくったわけです。だから結果として、「白と黒」が「黒と白」になりましたじゃ意味がない。(中略) だからそれを見て、この映画が全部フェイクだったのかと思う人がいてもいいんだけど、少なくとも…

『シン・ゴジラ』感想

『シン・ゴジラ』を初日に観てきた。 すごく良かった……。 まだ観ていない人はできるだけ早く観ることをおすすめします。 ネタバレされたくなければ、ってんじゃなくて、なんだろう。この映画の手の切れるような鮮やかさをあじわうには——ほとばしる果汁を味わ…

『帰ってきたヒトラー』(ネタバレあり)

『帰ってきたヒトラー』を観て泣いてしまった理由。 それは言ってしまえば単純なのだけれど、たぶん、知らないうちにザヴァツキに感情移入していたんだろうと思う。 ザヴァツキは最初、ヒトラーのコメディアンとしての才能に惚れ込み、思想的にも同調するよ…

映画『帰ってきたヒトラー』感想(ネタバレなし)

映画『帰ってきたヒトラー』が良かったので書く。 小説の映画化としてかなり成功していると思う。 かなり変わった映画だった。 ヒトラーの復活以外には、ファンタジー・SF的な要素が全くない。それ以外はあくまでリアルに、実際の人物名や政党名、地名など…